個人的なお話を多く含むので恐縮ですが、この作品に込めた想いの根源にあるものをここに記します。
主人公ヒューを始め、登場キャラクターにはモデルとなった動物がいます。「ヒュー」という名前は弊社代表の佐々木が一緒に暮らしていた犬(2019年逝去)から取っています。
ホーギーとはハスキーとコーギーのミックス犬のこと。
タイトルは「ホーギー」の「ヒュー(ガ)」と言う意味なのです。
ヒューガとフィガロ
東日本大震災
ヒューガとの出会いは東日本大震災がなければあり得ませんでした。
東日本大震災は津波による被害はもちろんですが、福島県にはまた別の大きな傷痕を残しました。
原発の問題です。
ヒューガは青森県で生まれ、福島県飯館村に住む家族の元で育ちました。
しかし飯館に避難勧告が出されたため、たくさんの人々が仮設住宅などの仮住まいに転居していく中で、同じくたくさんの犬や猫たちが住む場所を失ってしまいました。
ヒューガの家族もヒューガと一緒に住むことが難しかったため、仙台のシェルターにヒューガを預ける事を選択したのです。
震災から数年の間、シェルターにはたくさんの地域からボランティアの方々が駆け付け、動物たちの世話をしていらっしゃいました。
そこに妻がボランティアで通っていたことから、やがて「一時預かり」というかたちでヒューガは私どもと仙台で暮らすことになったのです。
ヒューガの家族との出会い
それからヒューガの顔を見せるべく、福島市在住のヒューガの家族との交流が始まりました。
そしてこの作品に繋がる出会いがあったのです。
弊社の事をご存知の方は知っていらっしゃるかも知れませんが、私は大のレトロゲーム好きです。
初めて会ったヒューガのご両親のお孫さん(Kくんとさせていただきます)が、ちょうどその時に「ゲームセンターCX」を視聴していたのをキッカケに、まるで歳の離れた友人のような関係になっていきました。
Kくんはレトロゲームの知識量も豊富で、私がプレゼントした「ファミコンコンプリートガイド」を文字通りボロボロになるまで愛読してくれました。
小学校低学年(当時)のKくんが子供の頃の私が好きだったゲームを夢中になって遊んでいるその姿に、ピクセルの方向性が定まった気がしました。
お父さんとヒューガ(福島にて)
ヒューガとヒュー
2019年、ヒューガは他界しました。
福島の家族の引越し先が決まり、その年末にはヒューガも家族と一緒に暮らせるというお話が決まっていた中での出来事でした。
少し前から認知症を患っており身体も思うように動かなくなっていましたが、最後の瞬間まで「生きる」ことを諦めず、めいっぱいその生命を全うしました。
一度は半身不随になり、病院の先生からも「回復は難しい」と言われながらも自力で歩けるようになったヒューガ。
認知症になってからも本当の家族のことは覚えており、家族に会うと私共は聞いたことのない鳴き声をあげていたヒューガ。
人と人を繋ぐ不思議な力を持ったヒューガ。
いつも前向き、マイペースで穏やか、自然に運を引きよせる・・・
そんなヒューガのすべてが、この作品の主人公ヒューの性格に反映されています。
また、体の大きなヒューガに対して物怖じしなかった猫のフィガロの性格も、相棒フィガロの強気な性格に表れています。
「withフレンズ」という副題は偶然にも、ヒューガの生きた軌跡と通じる気がします。
亡くなった当日、すぐにヒューガのお父さんお母さんが迎えに来てくれて、家族の元に帰ることができました。
今は家族と共に過ごした飯館に眠っています。
保護動物について
何かしらの団体に一切所属していませんし、政治的な意図はまったくありません。
震災が直接の原因ではないかも知れませんが、飯舘村には家族に取り残された犬や猫がまだ残っています。
ボランティアの方々によって保護されていますが、未だにそこに置いていかれる動物たちがいるそうです。
これは飯舘村や震災に限った問題ではありません。
動物と共に暮らす(もしくは暮らしている)のであれば責任、そして愛情と敬意を持って接していただきたいとは思います。
この作品が、保護動物について考えるきっかけになれば嬉しいです。